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オルタナ四半期レポート:逆風と追い風 — 今後の展開を見据えてオルタナティブ投資の主要4資産クラスについて、投資家が直面する逆風と追い風を検証します。
リスク資産は第2四半期も上昇を続けました。株式をはじめとするリスク資産は第2四半期も上昇基調を維持し、S&P 500とナスダックはいずれも2000年以来、最も好調な四半期となりました1。株式市場には複数の追い風が吹き、特に企業利益の増加、強気な市場センチメント、イランとの停戦を受けた原油価格の下落が相場を押し上げました。
幅広い銘柄が上昇しました。株式市場の上昇(およびその原動力となった堅調な企業利益)は、主にテクノロジー、特に人工知能(AI)をめぐる動きとして捉えられてきましたが、金融や資本財など他のセクターも上昇をけん引しました2。新興国市場は米国市場をアウトパフォームし、米国以外の先進国株式も再び好調な四半期となりました。
潜在的な逆風は依然として存在します。売り局面でも速やかに反発するなど、上昇相場の勢いが衰えないように見える局面もありましたが、株式市場はいくつかの潜在的な逆風に直面しています。バリュエーションは多くの過去の基準に照らして依然として割高であり、地政学的緊張もくすぶり続けています。また、経済見通し、特にインフレをめぐる先行きは不透明です。
追い風と逆風。現在の市場をめぐる大きな問いは、こうした追い風は、残る逆風をいつまで上回り続けることができるのか?ということです。これ以外にも、AI革命が潜在的にもたらす恩恵は、その最前線に立つ企業のバリュエーションを上回るほど重要なのか?個人消費という追い風は、インフレという逆風に打ち勝つことができるのか?といった問いを市場参加者は投げかけています。
投資では常に、リスクとリターン、すなわち逆風と追い風のバランスを取ることが重要です。逆風は見過ごされたり、過小評価されたりすることも少なくありません。実際、米国上場株式以外の資産クラスでは、現在の市場環境を理解するうえで、この2つの力をより慎重に見極める必要があります。そして、市場サイクルの現局面では、両者のバランスをどのように取るかを理解することが特に重要です。分散投資の重要性は、これまでと変わりません3。
こうした状況を踏まえ、今回のオルタナ四半期レポートでは、オルタナティブ投資の主要4資産クラスであるプライベート不動産、インフラストラクチャー、プライベート・エクイティ、プライベート・クレジットについて、投資家が直面する逆風と追い風を検証します。そこで繰り返し浮かび上がるテーマの一つは、現在は逆風に見える要因が、将来的には追い風に転じる可能性があるということです。
オルタナ市場ダッシュボードでは、オルタナ投資に関するデータ、市場や投資に関する洞察を紹介しています。注目すべき数字には以下が含まれます:
不動産市場は回復の初期段階にあり、今後数年間にわたり魅力的な投資機会をもたらすと考えています。現在の不動産市場は、逆風を上回る追い風に恵まれているとみられ、長期的な視点を持つ投資家にとって投資機会が生まれている可能性があります。
不動産価格は最近、多くのセクターで大幅な調整を経験しました。現在、市場は回復局面に入り、その回復は加速しています。パフォーマンスは8四半期連続で改善しており(下図参照)、取引量も回復するとともに、融資市場もより良好な環境となっています。2026年上半期のバリュエーション改善幅は、2024年通年の4倍に達しました。
プライベート不動産は調整後に過去平均で年間約10%のリターンを生み出してきた*
プライベート不動産のパフォーマンス
過去の実績は将来の成果を示唆するものではありません。投資目的が達成される保証はありません。投資家が指数に直接投資することはできません。現在の市場環境は投資機会をもたらす可能性がある一方、不動産市場には引き続き景気循環性と不確実性があり、その成果は市場環境や投資対象の選定によって異なります。* 一定の市場観測に基づきます。記載された期間は、過去の特定の市場低迷局面に基づくものであり、すべての市場サイクルを代表するものではない場合があります。プライベート不動産は、2026年6月30日時点のNCREIFプロパティ・インデックスおよびNFI-ODCE(米国の指数)で表しています。YTD26は、2026年6月30日までの年初来を指します。† 市場低迷後5年間の年率リターンを示します。
出所:全米不動産投資受託者協会(NCREIF)。2026年6月時点。
インフラ投資を取り巻く環境は、力強い需要という追い風と、供給面や規制面の制約という逆風が重なり、変化しています。追い風の一つは、データセンター、通信塔、光ファイバー網などのデータ・インフラを支える電力需要の高まりです。その結果、データ関連資産はインフラ投資における中核的な投資対象となっています。
AIは、クラウド・コンピューティングやモバイル利用の拡大など、その他技術の進展とともに、データ・インフラの成長を大きく後押ししてきました。AIによってデータ・インフラ全体の活動規模と負荷が高まる一方、電力や立地に関する既存の制約という逆風が一段と強まっています。
世界のデータセンターの電力需要は、2030年までに、ベースケースのシナリオで約1,000テラワット時(TWh)に達すると予想されています。これは、AI主導のワークロードが急速に拡大していることを反映しています(下図参照)。この需要に対応するには、発電能力、送電網の容量、系統接続への継続的な投資を通じて、電力網のボトルネックを解消することが不可欠です。
世界のデータセンターの電力消費量は急速に増加
感度シナリオ別の世界のデータセンター電力消費量
以下に示す事象が実際に発生する保証はなく、実際の結果はここに示す内容と大きく異なる可能性があります。これらの数値は、技術および政策上の選択肢を検討するための探索的なシナリオです。AIの普及規模や、追加的なサービス需要をどの程度効率的に満たせるかなど、不確実性が広範に存在することを考慮することが重要です。高成長:AIの普及がより進み、デジタルサービスに対する世界的な需要が高まった場合の影響を示すシナリオです。ベースケース:データセンターの電力需要が大幅に増加すると見込まれる一方、2024年から2030年にかけての世界の電力需要増加に占めるデータセンターの電力需要増加の割合は10%未満と予想されます。高効率:AIおよびデジタルサービスの需要はベースケースと同じ軌道で推移すると想定しています。一方、デジタル技術の普及拡大に伴うエネルギー需要の増加を相殺するため、複数の効率化策が講じられていると仮定しています。逆風:サービス需要は他のシナリオほど速く成長せず、AIの普及もより緩やかに進むケースです。
出所:国際エネルギー機関(IEA)「Energy and AI: World Energy Outlook Special Report」、2025年4月。
プライベート・エクイティは、より複雑な局面に入りつつあります。投資活動は改善しているものの、回復は依然として選別的です。投資家にとって重要なのは、プライベート・エクイティ市場が単に回復したかどうかではありません。どのようなプライベート・エクイティへの投資エクスポージャーを持っているかが重要です。
足元の見通しは、主に以下の3つの要因によって形づくられています:
プライベート・エクイティは財務的な観点から語られることが多いものの、その基本的なモデルはシンプルです。企業を買収し、企業価値を高め、最終的に売却します。しかし、ここ数年、この最後のステップが難しくなっています。
金利上昇により資金調達コストが増加したことで、買い手は選別姿勢を強めています。一方、売り手は低下したバリュエーションへの対応に時間を要するケースが多く見られます。エグジット市場も依然として一様ではありません。
その結果、売却の準備が整っているにもかかわらず、市場に出ていない企業が大量に積み上がっています。プライベート・エクイティ・ファンドが保有する未売却企業は推定3万2,000社、総額3.8兆ドルに達する一方、純資産価値(NAV)に占める投資家への分配額の割合は4年連続で15%を下回っています7。
プライベート・クレジットは、より複雑な新たな局面に入っています。10年以上にわたる急速な成長を経て、現在の企業向け直接融資市場では、アンダーライティング、バリュエーション、流動性、セクター・エクスポージャー、借り手の健全性について、これまで以上に厳しい目が向けられています。
こうした懸念には根拠がありますが、当社は、これらは市場の機能不全というよりも、市場が成熟する過程で見られる兆候である可能性が高いと考えています。現在の環境が必ずしも完全なクレジット・サイクルを示しているとは考えていませんが、市場が試されていることは確かです。この局面では、借り手、セクター、ストラクチャー間、さらには規律あるアンダーライティングを実践している運用会社と、良好な市場環境に過度に依存してきた運用会社との間で、投資成果の差が明確になっています。
当社は、プライベート・クレジットが現在直面している一部の逆風が、より良好な価格設定、より強固なストラクチャー、より規律ある資本配分、運用会社間の差別化の進展、そして企業向け直接融資以外のプライベート・クレジット戦略への関心の再燃といった追い風に変わる可能性があると考えています。これが実現するかどうかは、クレジット・サイクルがどのように推移するかに加え、運用会社が投資機会を発掘し、厳格なアンダーライティングを行い、「ノー」と判断する規律を維持できるかにかかっています。特に、契約に基づくインカム、コベナンツ、担保、資本構成上位の地位、長期的な視点に立った資本といった、プライベート・クレジットの目立ちにくい特性が、今後さらに価値を増すと考えています。
逆風:低調な取引活動。プライベート・クレジット市場は、ここ数カ月で明らかに減速しています。2025年の米国の直接融資の取引額は10%減少し、取引件数は約16%減少しました8。これは実質的な減少ですが、取引活動は2024年以前の水準を依然として上回っています。また、取引件数の減少が取引額の減少を上回っていることから、貸し手と借り手が選別姿勢を強めるなか、取引件数が減るものの、案件の規模は大きくなっていることが示唆されています。
潜在的な追い風。取引活動の鈍化は、資本配分の規律の重要性を高める可能性がありますが、供給減少が自動的により良い条件やより良い投資機会につながるわけではありません。より選別的な市場では、規律ある貸し手は、すべての取引で積極的に競争するのではなく、より優れたリスク調整後の投資機会を待つことができます。一方、供給が限られることで、同じ質の高い借り手を巡る貸し手間の競争が強まり、スプレッドに低下圧力がかかる可能性もあります。より最近の取引では、より質の高い借り手の割合が高まっている兆候も見られます。2026年第2四半期のインタレスト・カバレッジ・レシオは平均2.5倍と、同年第1四半期の2.3倍から上昇し、2022年第3四半期以来の最高水準となりました9(下図参照)。忍耐強く、すぐに投資できる資本を有する運用会社は、より質の高いビンテージを組成できる立場にあると考えられます。
インタレスト・カバレッジは2022年以来の最高水準
米国で新規実行された直接融資ローンのインタレスト・カバレッジ*
インタレスト・カバレッジ・レシオは、借り手の利払い能力を示す指標で、一般に利益を支払利息で除して算出します。比率が高いほど、債務の利払い能力が高いことを示します。
* 年間経常収益(ARR)に基づく取引を除きます。
出所:KBRA DLDリサーチ。2026年6月30日時点。
脚注
1. ナスダック、2026年6月30日。
2. Vicky Ge Huang、「Why Wall Street Bulls Aren’t Worried About Sky-High Stock Prices」、ウォール・ストリート・ジャーナル、2026年6月29日。
3. 分散投資は、利益を保証するものではなく、損失を防ぐものでもありません。
4. プレキン「Real Estate Q2 2026: Preqin Quarterly Update」、2026年7月31日。
5. プレキン「Infrastructure Q2 2026: Preqin Quarterly Update」、2026年7月31日。
6. PEFOX「Secondaries Market Update – Q2 2026」、2026年6月8日。
7. ベイン・アンド・カンパニー「Global Private Equity Report 2026」、2026年2月22日。
8. Kazimi他、「Private Credit in 2025」。
9. 米国で新規実行された直接融資ローンのインタレスト・カバレッジ。年間経常収益(ARR)に基づく取引を除きます。KBRA DLDリサーチ、2026年6月30日。
リスクに関する記述
資産クラスとして、プライベート・クレジットは多様な債券で構成されています。それぞれのリスク・リターン特性は異なるものの、プライベート(非上場の)クレジット投資では、資金調達の選択肢が限定的な企業へのオポチュニスティックな投資を模索するため、一般的に、上場のものと比較してデフォルトリスクが高くなります。プライベート・クレジット投資では、通常、発行体が投資適格未満または無格付けであるため、より高いリスクの対価として利回りもより高くなります。
不動産関連商品への投資は、不動産の物件価値、賃料、入居率に影響を及ぼす経済、法令、環境の要因から影響を受ける場合があります。
インフラ企業の事業は、高い金利負担、高水準のレバレッジ、規制対応コスト、景気減速、供給能力の過剰、競争の激化、燃料調達の制約、省エネルギー政策など、さまざまな要因によって悪影響を受ける可能性があります。
オルタナティブ投資は投機的な性質を有する場合が多く、高いリスクを伴います。投資家は、投資額の全部または相当部分を失う可能性があります。ハイイールド債券は金利リスクの影響を受けます。金利が上昇すると債券価格は下落し、一般に、債券の満期までの期間が長いほど、このリスクに対する感応度は高くなります。利回りは経済情勢に応じて変動する可能性があります。利回りは、投資判断にあたって考慮すべき要素の一つにすぎません。
人工知能(AI)およびその他の新興技術に関連する投資機会には、技術革新の急速な進展、規制環境の不確実性、市場における投機的な動き、ならびに期待される技術的進歩が想定どおりに実現しない可能性など、重大なリスクが伴います。AI関連投資は、価格変動が大きく、投機性の高い投資となる可能性があります。オルタナティブ投資はしばしば投機的であり、高いリスクを伴います。投資家は、投資金額の全てまたは多額を失う可能性があります。ハイイールド債には金利リスクが伴います。金利が上昇すると債券価格は下落します。一般的に、満期が長期になるほど金利リスクに対する感応度が高くなります。利回りは経済状況に伴って変動します。利回りは、投資意思決定に際する検討事項のひとつにすぎません。
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将来の見通しに関する記述
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