オルタナ研究所
資産配分の進化:トータル・ポートフォリオ・アプローチ投資の台頭
金融市場は、21世紀初頭と比べて大きく様変わりしています。特に顕著な変化の一つは、経済の広範な領域において、民間資本が資金供給や運営を担う割合が大幅に高まっていることです。財政難に直面する政府は、多くの重要なインフラやエネルギープロジェクトへの投資から手を引いています。一方で、世界金融危機後に規制強化が図られた銀行は、長期かつ複雑な融資を縮小しています。その結果、民間のオーナーやレンダーが、重要インフラの開発・運営や企業の成長・拡大を支える役割を担うようになっています。
TPAは、ポートフォリオ全体におけるリスク、リターンおよび流動性に着目し、ポートフォリオ構築を包括的に捉えるアプローチです。これは、あらかじめ定めた資産クラス配分比率を基にポートフォリオを構築する従来型の戦略的資産配分(SAA)とは対照的です。
TPAへの全面移行には、ガバナンスや運用プロセスの大幅な変更が求められる場合があるため、多くの投資家は、流動性モデリングの高度化や明示的なリスクバジェティングなど、TPAの一部要素を既存のSAA枠組みに取り入れています。
TPAの導入を検討する投資家にとって、主な実務上の論点は以下の3点であると考えています。
最終的に、SAAとTPAは二者択一の枠組みではなく、ポートフォリオ運用アプローチにおける両端の考え方として捉えることができます。最適なアプローチは、各機関投資家の運用目的、流動性プロファイルおよびガバナンス体制によって異なります。